水素の湯でのんびり若返り!日本でいちばん還元力の強い温泉が北海道にありましたぞ(前編)
全国各地の個性ある温泉。古くから人々の心と体を癒してきました。いま、あらためて"温泉の機能性"が注目されています。美容効果や健康効果をもたらす決め手は還元力(抗酸化力)。そう話すのは、温泉教授として知られる松田忠徳教授。"源泉かけ流し"という言葉を考案した人物です。松田教授が太鼓判を押す若返りの湯が北海道にありました。還元力が日本で最も強いことが明らかになりつつある寿都温泉をご紹介します。
入湯数4700ヵ所を超える"温泉教授"が解説!温泉が体にいい三つの理由
町営の温泉として地域住民に親しまれてきた寿都温泉「ゆべつのゆ」では、温泉療養効果実証事業が行われてきました。"予防医学"としての温泉の役割を科学的に解明しようという試みです。キーワードは溶媒。温泉の成分(溶質)を溶かしている水そのものが、いい温泉の効果の本質であるという考えに基づいています。実際、山口県の俵山温泉は含有成分がほとんど見られない単純温泉ですが、明治以降、リウマチの名湯として愛されてきました。
ゆべつのゆでは、「酸化還元電位」という評価法によって酸化状態にあるか、還元状態にあるか、温泉の性質を調べました。酸素とふれることが少ない地下深くから湧出する温泉は本来、還元状態にあります。湧き出した湯が酸素とふれて、少しずつ酸化が進んでいくのです。酸化還元電位では酸化度や還元度がわかります。松田教授はこれを"温泉の鮮度"と呼んでいます。還元度が強いほど、新鮮な温泉です。
調査の結果、寿都温泉は還元力がとても強いことがわかりました。若返りに役立つといわれる水素が豊富に含まれていることも確認されています。水素イオンの濃度は、湯元や浴槽、湯口から湯尻など、温泉が流れている場所で常に変化していました。川上から川下に湯が送られる過程で、鮮度は落ちてしまうのです。温泉を循環させるたびに、鮮度が落ちていくことも意味しています。完全放流方式の"源泉かけ流し"のほうが体への効果が高いといえるでしょう。
還元力の強さは、ほかの試験でも証明されています。次亜塩素酸ナトリウムという塩素系薬剤で酸化させた水道水を入れた容器に寿都温泉を加えて酸化還元電位計で推移を測定したところ、1分後には水道水を還元したのです。水道水に加える温泉水の量を減らしても、同様の結果が得られました。
さらに、食塩水、水道水、ミネラルウォーター、寿都温泉といっしょに5本のクギをペットボトルに入れてキャップをした状態で、酸化の経過を観察する実験が行われました。その結果、寿都温泉でのみ、クギの酸化が抑えられていました。114日後のようすは、上の写真のとおりです(左から食塩水、水道水、ミネラルウォーター、寿都温泉)。
活性酸素や紫外線などで傷ついた細胞を修復する「HSP」を増加させる特殊なゴム素材「温泉ラバー」
松田教授は寿都温泉を「抗酸化力が極めて強い」と評価しています。寿都温泉に入ると、皮膚から体内の血液、リンパ液を通して還元力の強い温泉水が全身の細胞に届けられ、酸化して錆びついた細胞を還元して若返らせる働きが期待できるそうです。生活習慣病の原因といわれる活性酸素を無害化することもできるかもしれません。
次回は、寿都温泉の若返り効果を検証するために行われた"湯治モニターツアー"の結果をご紹介します。