めまい・耳鳴りを引き起こすメニエール病の真犯人は"ヘルペスウイルス"かもしれません

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メニエール病はめまいや耳鳴り、難聴を引き起こす病気です。国内には現在、メニエール病の患者さんが4・5~6万人前後いると見られ、6割が女性といわれています。メニエール病になると、自分や周囲のものがグルグル回っているように感じる「回転性めまい」が起こります。めまいは数十分から、長いときには数時間も続きます。めまいとともに耳鳴りや難聴、耳の閉塞感、吐きけといった症状を伴うこともあります。メニエール病で意識がなくなることはありませんが、平衡感覚を失うため、立ち上がったり、体の向きを変えたりするのが難しくなります。メニエール病になって日常生活に大きな支障をきたしている人は大勢いるのです。

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メニエール病という病名は、1861年にフランスのメニエール医師が「めまいに耳鳴り・難聴を併発する内耳の病気である」と報告したことに由来しています。 1936年には大阪大学の山川強四郎(当時)が「内耳にある小器官内にリンパ液がたまってできた水腫(水ぶくれ)が、めまいと耳鳴り・難聴を引き起こす」 と報告しています。2人の研究報告依頼、世界じゅうの研究者がメニエール病の調査と研究を重ねてきましたが、内耳に水ぶくれができる原因は解明されませんでした。

メニエール病の研究が進んだのは2009年。米国・マサチューセッツ大学のガゼッグ教授が、ほかの病気によって亡くなったメニエール病の患者さん8人を 解剖検査しました。検査の結果、「内耳に平衡感覚をつかさどっている前庭神経節の細胞内にウイルスの外殻を見つけた」と報告したのです。ガゼッグ教授が発 見したウイルスの外殻は、帯状疱疹や水ぼうそうの原因になるヘルペスウイルスでした。ガゼッグ教授の報告以後、メニエール病とヘルペスウイルスとの関係が研究されるようになったのです。

水ぼうそうは子どもがよくかかる病気です。水ぼうそうが治った後も、ヘルペスウイルスは体内の神経節と呼ばれる場所に潜伏しています。ストレスや疲労などで 免疫力が低下するとウイルスが活性化して、帯状疱疹などを発症させることは、以前から知られていました。私はガゼッグ教授の解剖報告よりも早い1980年代から、ヘルペスウイルスとメニエール病との関係に注目していました。ヘルペスウイルスがメニエール病にかかわっているという報告を著書などで発表すると ともに、実際に患者さんの治療に応用してきました。メニエール病の治療では、一般的には抗めまい剤やステロイド剤が用いられています。メニエール病の発症 にはストレスがかかわっていることもあるため、めまいを抑える薬に加えて、精神安定剤やビタミン剤など処方することもあります。しかし、メニエール病と診断されて治療を受けていても、症状がなかなか改善しない患者さんが大勢いました。

私は、メニエール病はヘルペスウイルスが「聴神経節」や「前庭神経」で増殖して、めまいや耳鳴りを引き起こしているのではないかと考えました。聴神経節とは、 内耳で電気信号に変換された音の情報を脳に伝える部分です。この考えを立証するために、従来の治療では改善が見られないメニエール病と突発性難聴の患者さんに抗ウイルス剤を服用してもらいました。私が抗ウイルス剤を用いて治療をしたメニエール病や突発性難聴の患者さんは、約5000人です。治療に使った薬はヘルペスウイルスに対する抗ウイルス剤で、患者さんには2週間飲んでもらいました。すると、8割以上の患者さんで、めまいや耳鳴り、難聴などの症状に改善が見られたのです。

多くの患者さんの例を見てわかったことがあります。それは、抗ウイルス剤を使って活性化したヘルペスウイルスを抑えると、聴神経や前庭神経への攻撃が治まることです。聴神経や前庭神経への影響が少なくなることで、メニエール病の症状であるめまいや耳鳴りを和らげることが期待できます。従来の治療で耳鳴 り・めまいが改善しなかった方は、抗ウイルス剤を用いた治療を考えてみてはいかがでしょうか。

七戸満雄先生(札幌東和病院めまい外来)

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