全国から乾癬・アトピー患者が集まる湯治場!北海道の最北端にある豊富温泉できれいな肌が甦る
北海道の北端に位置する稚内市に隣接する豊富温泉には、全国各地から乾癬やアトピーの患者さんが湯治に訪れます。1992年には温泉法にもとづき環境庁長官(現在の環境相)が指定する国民温泉保養地にも選ばれた豊富温泉について、藤澤重樹先生(藤澤皮膚科院長)にお話しを伺いました。
豊富温泉は大正末期の1926年、石油の試掘中に天然ガスとともに発見されました。開泉当初は質素な小屋と風呂が設けられたくらいで、豊富温泉周辺の住民が入湯していました。筋肉や関節の病気、乾癬をはじめとする慢性皮膚病、やけどなどに効果があると、昭和初期に行われた研究機関の調査で報告されています。1927年に開業した川島旅館初代女将の川島清美さんによる「やけどは病院にかかるよりもきれいに治る」という話は、いまでも語り継がれています。
1990年代になると、北海道内の乾癬患者さんたちの間で豊富温泉の湯治効果が認識されはじめました。1993年以降、北海道の乾癬患者会による豊富温泉ツアーが毎年されています。2000年あたりから、豊富温泉の優れた泉質はアトピーの患者さんにも知られるようになりました。毎年開催されている「アトピーフォーラムin豊富」というシンポジウムがスタートしたのは2006年のことです。
乾癬やアトピーに対する豊富温泉の湯治効果は、北海道立衛生研究所の内野栄治医学博士らによって、多数の学術論文で報告されています。日本では昔から皮膚病に湯治療法が盛んに行われていました。乾癬に対しては、大分県別府市の明礬温泉や群馬県の草津温泉で湯治効果の報告があります。最近、最も注目されているのが豊富温泉です。
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豊富温泉の泉質は、ナトリウム塩化物泉とナトリウム塩化物・炭酸水素源泉の2種類。源泉温度は41~42℃で、かすかに黄濁しています。源泉から石油や天然ガスが湧出するため、油分がわずかに含まれ、弱い石油臭がします。この粗製石油はいわゆるタールで、強い抗炎症作用を持っています。
豊富温泉には、美肌効果のある炭酸水素とメタケイ酸、消毒効果のあるメタホウ酸、炎症を鎮める効果のあるマグネシウムが豊富に含まれています。さらに、植物性の有機物であるモールという泥炭も豊富です。アトピーにいいといわれる全国の温泉のほとんどは、ナトリウム塩化物泉。昔の海水が地下に残って地下水になった化石海水である豊富温泉も、ナトリウム塩化物泉に分類されます。塩分の濃度は1.1%。これは羊水とほぼ同じ塩分濃度です。塩分濃度0.9%の生理食塩水に近いため、かき壊した傷口が痛むこともありません。豊富温泉の湯治は副作用がないので、体に負担の軽い治療法といえます。
乾癬でお悩みの患者さんは、豊富温泉での湯治を試してみてはいかがでしょうか。症状や個人差によって8日~3週間程度かかりますが、よい結果が期待できるでしょう。