塗る手袋がアトピーから肌を守ります!手袋の生産量日本一の香川のすごい研究

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手袋の生産量が日本で最も多いのは香川県です。明治時代から生産されるようになったといわれる手袋は、保温のほか、すり傷や切り傷、素手でさわると危険な化学物質やウイルスから手を保護するために使われてきました。

あなたは、香川県で生まれたユニークな手袋をご存じですか。ユニークな手袋とは、薄い膜で肌を守る"塗る手袋"のことです。塗る手袋を開発したのは、日本健康科学研究センターの岩倉泰一郎所長。アトピー性皮膚炎の治療薬に関する研究や診察を行ってきた人物です。

アトピーの患者さんは、かゆみのために絶えず皮膚をかいてしまうことが少なくありません。皮膚を傷つけるだけでなく、目のまわりをかくことで網膜剥離を引き起こしてしまうこともあるそうです。かきむしることで皮膚の角質層は破壊され、肌のバリア機能が低下するという問題もあります。その結果、細菌やウイルスの侵入を許し、アトピーの症状を悪化させてしまうのです。岩倉所長も、そうした場面を毎日のように見てきました。そんなある日、偶然目にしたのが不思議な薄い膜でした。

アトピーの患者さんの肌をかきむしりから保護する方法がないかと考え、研究を進めていました。そんなときに、ある研究員が実験を終えて放置していた溶液に薄い膜が張っていることに気づきました。その溶液と膜をくわしく調べてみると、皮膚に塗ることで耐水性被膜を形成し、皮膚刺激性もないことがわかったのです。この液体を塗れば、表面に形成される膜によって皮膚を保護できるのではないかと考え、実用化に向けて研究を進めてきました。

偶然の発見がきっかけで加速した研究は、「フィルムスキン」という技術として完成に至りました。フィルムスキンは、液体を肌に塗るだけで30μという薄い膜を形成する優れた性質を持っています。耐水性があるため、水やお湯でも簡単には落ちません。さらに、ステロイド剤との相性がいいことも確認されているそうです。

アトピーの治療で処方されるステロイド剤のほか、抗炎症や保湿を目的とした軟膏やクリームを塗った上にフィルムスキンを重ねると、薬の有用成分を皮膚と膜の間に閉じ込めることができます。水やお湯の影響も受けませんから、少ない量の薬でも長時間、効果が持続するというわけです。

床ずれ予防、水虫治療、虫よけ、制汗、日焼け止めなど、技術の応用が期待されているフィルムスキン。虫よけについては、フィルムスキンの薄い膜があるだけで、蚊が肌を刺せなくなくなることが実験でわかっているそうです。手袋といったら香川県。生産量日本一、そしてオンリーワンの技術を持つ香川の挑戦は、まだまだ続きます。

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