高知県はユズの生産量日本一。ユズドリンクをはじめ、ぽん酢やドレッシング、ユズコショウやジャムなどが有名です。最近、食品を加工する工程で廃棄されていたユズの種子に健康効果があることがわかってきました。

ユズと同じ柑橘類である温州ミカンには、フラボノイドやカロテノイド、クマリンやポリメトキシフラボノイドといった機能性物質が豊富に含まれています。骨粗鬆症の予防効果や美容効果などが報告されています。一方、ユズの成分に特化した機能性の研究は決して多くありませんでした。

特産品として知名度を上げたユズ製品に対し、廃棄されてきたユズの種子。そこに目をつけたのが、馬路村農業協同組合（馬路村農協）東谷望史組合長です。馬路村は高知県の東部に位置します。面積の96％は山林で、人口は1000人に満たない小さな村です。

馬路村農協がユズ種子からオイルを抽出することに成功すると、大学と共同で機能性の研究を始めました。その結果、ユズ種子オイルにはアトピーによる皮膚の炎症やかゆみを抑える働きがあることがわかってきたのです。

アトピーの原因として、「皮膚のバリア機能の低下」「免疫機構の異常」という2つが挙げられます。具体的には、バリア機能の低下で肌の水分が蒸散すると、アレルゲンや細菌など外部からの刺激が加わりやすくなります。免疫バランスの乱れも、皮膚の慢性的な炎症を引き起こす一因となっています。

高知大学医学部の溝渕俊二教授による試験をご紹介しましょう。試験には、アレルギー性皮膚炎のモデルマウスが使われました。ユズ種子オイルを1日1回塗る群、塗らない群に分けて、患部のようすを観察するという比較試験です。

ユズ種子オイルを塗らなかった群では、皮膚の乾燥や角質化が起こり、浮腫や軽度の出血が確認されました。それに対し、ユズ種子オイルを塗った群は、症状がとても軽くすみました。皮膚スコアというデータを取りまとめた結果、有意差も確認されています。有意差とは、統計的に意味のある違いのことです。

試験開始から25日後には、患部の組織検査が行われています。ユズ種子オイルを塗らなかった群では、組織の肥厚と病巣周辺に白血球が浸潤する免疫反応が見られましたが、ユズ種子オイルを塗った群では正常な組織の状態が維持できていたそうです。

細胞レベルの試験では、ユズ種子オイルが「ヒスタミン」というアレルギーの原因物質を抑制することもわかっています。ユズ種子オイルは保湿力も優れているので、アトピーのほかにも、老人性乾皮症という皮膚の乾燥を和らげる働きも期待されています。

オイルの原料となるユズの栽培には、化学系肥料や農薬を使わない有機栽培法が採用されています。安心・安全で肌に優しいユズ種子オイルをお試しください。