貼るアロマ

貼るアロマ
貼るアロマとは、天然オイルの香り成分を特許製法「DGDS」によって全身に届けるアロマのことです。パッチタイプのシートを肌着の内側に貼って使います。誤嚥性肺炎の原因となる嚥下反射の低下を改善させる黒コショウをはじめ、ローズマリー、ホップ、オレンジ、ラベンダー、レモン、ネロリ、ユーカリ、サンダルウッド、マンダリンなどがブレンドされたシートがあります。
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東北大学で実証!嚥下反射が改善して誤嚥による肺炎を退ける黒コショウのアロマ

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黒コショウは「サブスタンスP」という神経伝達物質を増やすことがわかった

日本人の死亡原因の第4位は肺炎です。肺炎で死亡する人の94%は75歳以上。90歳以上になると、肺炎は死亡原因の2位に上がります。高齢化の進む日本で最も危険視されているのが「誤嚥性肺炎」です。高齢者の肺炎の70%以上が誤嚥性肺炎に該当するといわれています。誤嚥性肺炎は再発をくり返すのが特徴です。

誤嚥は嚥下反射の低下で起こります。嚥下とは、食べ物や唾液などを飲み込む動作のこと。嚥下の動作が正しく働かない状態を嚥下障害といいます。誤嚥性肺炎は、嚥下障害によって唾液とともに細菌が肺に流れ込むことで起こるのです。嘔吐に伴う胃液が原因となる場合もあります。誤嚥性肺炎が続けば、おなかに小さな穴を開けて胃に栄養を直接送るための「胃ろう」の造設が検討されます。

嚥下反射の低下は、「サブスタンスP」という神経伝達物質の減少に起因します。脳の大脳基底核というところでドーパミンの働きを受けて作られるサブスタンスPは、脳梗塞や脳出血、アルツハイマー病やレビー小体型認知症、パーキンソン病などによって脳がダメージを受けると減少します。脳血管障害や神経系疾患の患者さんに誤嚥性肺炎が多いのは、このためです。

医療現場では、嚥下障害に対する薬物療法が行われています。経口治療薬によって、サブスタンスPを増やすものです。ただ、飲み込みがうまくできない患者さんに薬を飲んでもらうのは容易ではありません。

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そこで注目されているのが、嗅覚を通して脳を刺激することでサブスタンスPを増やす芳香療法(アロマセラピー)です。研究に携わってきたのは、肺炎研究などで世界的にも有名な東北大学病院老年科のチーム。研究の結果、「黒コショウ精油」がサブスタンスPを最も効率的に増やすことが明らかになったのです。ディフューザーを使わない手軽さも、注目を集める理由の一つといえます。

 黒コショウ精油によるアロマセラピーには、北海道の企業が開発した特許製法「ドラッグ・ガス・デリバリー・システム(DGDS)」が採用されています。黒コショウ精油をしみこませた炭素カプセルが入ったシートを肌着や衣服の内側に貼ると、体温を感知して香りを放つのです。香り成分が肌から吸収されることもわかっています。

絶食中でも使用できて使用開始から数日で効果が現れる

東北大学病院老年科では、高齢者施設の男女入居者に水、ラベンダー精油、黒コショウ精油を用いた嗅覚刺激による嚥下反射の変化を比較する試験を実施。黒コショウ精油が嚥下反射を改善させ、血液中のサブスタンスPの濃度も有意に上昇することが報告されました。脳の血流がよくなることもわかっています。

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大分県立三重病院では、誤嚥性肺炎をくり返していた91歳の男性を対象にした試験が行われています。①何もしない状態、②黒コショウ精油、③治療薬(タナトリル5mg ・シンメトレル100mg)、④黒コショウ精油と治療薬の併用、という暮らしをそれぞれ2週間続けてもらい、嚥下障害に関する項目を比較した結果、水飲みテスト、ムセ回数、吸引回数の改善が認められています。

試験を行った甲斐誠司先生は、「黒コショウ精油の貼るアロマには、薬と同等の効果がありました。使用開始から数日以内に効果が現れ、絶食中でも使用でき、副作用がないのが利点です」と話しています。

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