エルムマッシュ291

北海道
そらちたもぎ
そらちたもぎとは、北海道空知郡南幌町の食品メーカーと北海道立林産試験場によって共同開発されたタモギタケのことです。免疫賦活作用のある「β(1‐3)グルカン」や抗酸化作用の強い水溶性のアミノ酸「エルゴチオネイン」が豊富。機能性については、北海道大学や札幌医科大学で研究されています。
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抗菌ペプチドを増やして腸管免疫を活性化させる北海道のタモギタケ

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北海道の産官で開発された幸せを呼ぶ黄色いキノコ

タモギタケはヒラタケ目ヒラタケ科の担子菌で、北海道のニレの倒木などに自生しているキノコです。北国の短い夏の期間であれば、森の中で見つけることができるかもしれません。鮮やかな黄金色の輝きを放つ色彩と希少性から、タモギタケは「幻のキノコ」と呼ばれて珍重されてきました。とても香り高く、歯ごたえも抜群で、北海道内では古くから食用のキノコとして親しまれています。

エルゴチオネインやβ(1-3)グルカンが豊富に含まれるエルムマッシュ291[そらちたもぎ]濃縮エキス一覧

北海道空知郡南幌町にある食品メーカーが人工栽培技術の開発に成功したのは1985年のこと。北海道の産官で共同開発された「エルムマッシュ291」というタモギタケ初の登録品種は現在、道外のスーパーマーケットや飲食店でも目にする機会が増えています。栄養価の高さや使い勝手のよさにも注目が集まり、北海道から九州まで35道府県の学校給食にも採用されています。「そらちたもぎ」と呼ぶファンも多いようです。

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エルムマッシュ291は、バイオ技術を駆使した先進システムを用いて栽培されています。北海道産カラマツのオガクズをベースとしたキノコ培地を培養瓶に充填してから殺菌。その後、厳しく管理された無菌環境のもと、自動制御ロボットで種菌を接種します。すると、黄色の傘の株が培養瓶からあふれ出すように現れてきます。成長するまでの約20日間、生育に最適な空調管理を徹底しながら栽培されているのです。

潰瘍性大腸炎・クローン病・ガンなど難病から体を守る

美容・健康効果も注目されています。エルムマッシュ291には、免疫賦活作用のある「β(1‐3)グルカン」や抗酸化作用の強い「エルゴチオネイン」という健康成分が豊富です。ほかにも、体内で合成できない必須アミノ酸を含む20種類以上のアミノ酸、ビタミンB1、B2、天然ミネラルなどがバランスよく含まれています。

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エルムマッシュ291の機能性は、札幌医科大学や北海道大学など産学共同ネットワークによって研究されてきました。これまでに報告されてきた健康効果としては、「抗腫瘍作用」「抗酸化作用」「血圧降下作用」「血糖値上昇抑制作用」のほか、「セラミドによる皮膚保湿作用」「抗アレルギー作用」などが挙げられます。

例えば、2005年4月、札幌医科大学の加藤和則先生は、第96回アメリカ癌学会総会で「タモギ茸エキスによる抑制性T細胞の制御・新規抗腫瘍効果について」という発表を行っています。エルムマッシュ291を熱水抽出して得られる濃縮エキスによるガン細胞の増殖抑制効果、マウスの生存期間の延長効果を明らかにしたものです。

一般的に、免疫力はNK細胞の活性化を解析することで評価されてきました。エルムマッシュ291は、免疫力の低下を引き起こす制御性T細胞の増加を抑えて抗腫瘍効果を発揮することがわかり、海外の研究者からも高い評価を得る結果となったそうです。

2012年には、北海道大大学院の綾部時芳先生の研究グループが新たな研究成果を報告しました。綾部先生は免疫学の権威で、粘膜免疫における抗菌ペプチドの働きを研究しています。これまでに、小腸にあるパネート細胞が「αディフェンシン」という抗菌ペプチドを分泌することを解明してきました。

αディフェンシンには外敵を見分ける能力があり、病原菌だけを攻撃し、腸内環境の改善にも貢献しています。難治性の腸の病気との関係も明らかになりつつあります。潰瘍性大腸炎やクローン病には、αディフェンシンの分泌や機能の異常が影響している可能性が指摘されているのです。

綾部先生の研究では、エルムマッシュ291の濃縮エキスに、アルファディフェンシンを増やす働きがあることが確認されています。腸内環境を改善させて、小腸に備わる腸管免疫の活性化させる効果が期待されています。

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