間質性肺炎や間質性膀胱炎、潰瘍性大腸炎やクローン病!難病改善に役立つ[発酵ぶどうミクス]

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近年、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、アトピーやぜんそくなどのアレルギー性疾患が増えています。これらの病気に共通しているのが炎症です。炎症は本来、ウイルスや病原菌などから私たちの体を守るのに必要なものですが、異物を排除するさい、過剰な反応が起きてしまうこともあります。慢性的な炎症が続いて起こるのが炎症性疾患です。なかでも、特に治療が難しいといわれている病気に、潰瘍性大腸炎やクローン病、間質性肺炎や間質性膀胱炎が挙げられます。

急増する炎症性疾患の改善に役立つと期待されているのが、白ワインの原料となるブドウの果皮と種子をミックスして細かく砕いて得られる乾燥粉末を、乳酸菌で発酵処理したエキスです。便宜的に"発酵ぶどうミクス"とでも呼びましょう。数十種類から厳選された植物性乳酸菌によって発酵を進めた発酵ぶどうミクスには、ポリフェノールや食物繊維のほか、オレアノール酸やカテキン類が豊富に含まれています。

発酵ぶどうミクスは、炎症性疾患の改善に役立つ可能性が示唆されています。北里大学元教授で、現在、順天堂大学医学部の非常勤講師を務める熊沢義雄先生にお話しを伺いました。生体防御学や生薬成分の免疫薬理作用の研究を専門とする熊沢先生は、"皮"の研究者としても知られています(過去の記事「毎日小さじ1杯でOK!抗炎症作用抜群のタマネギの皮はガン予防に最適」)。

「炎症の代名詞ともいえるのが、炎症性サイトカインと呼ばれる"TNF‐α"です。TNF‐αはすべての病気に関与しているといっても過言ではないでしょう。生活習慣病やアレルギーはもちろん、潰瘍性大腸炎やクローン病といった腸の難病、組織が固くなって本来の機能が失われてしまう間質性肺炎や間質性膀胱炎、さらには、ガンや認知症も例外ではありません。私は、植物の皮に備わる抗炎症作用について長年、研究してきました。たくさんの皮の中でも優れた働きを持っている一つが、発酵ぶどうミクスだったのです」

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(画像はAmazonより)

ブドウには赤ワインに使われるブドウと、白ワインに使われるブドウがあります。"健康効果"と聞くと、あなたはポリフェノールが豊富に含まれる赤ワインを思い浮かべるかもしれませんが、今回の主役は白ワインの原料となる品種です。熊沢先生の研究で、赤ワイン用のブドウではなく白ワイン用のブドウの果皮と種子、かつ乳酸発酵というひと手間がないと、抗炎症効果は得られないことがわかりました。

「花粉症やぜんそくのマウスを使って試験を行ったところ、発酵ぶどうミクスにだけ、炎症を抑える働きがありました。試験では、統計的に意味のある違いのことを指す有意差も認められています。発酵ぶどうミクスの効果と見てもよいということです。糖尿病のマウスを使った試験では、アディポネクチンという善玉のホルモンが有意に増え、血糖値が下がるという結果も得られました。TNF‐αによって生じるインスリン抵抗性が改善したものと考えられます」

最近では、血液中の糖とたんぱく質が結合する糖化反応の末にできる終末糖化産物「AGEs」と炎症の関係が指摘されています。マクロファージを刺激しすることで、AGEsもTNF‐αを増やすことが明らかになっているのです。発酵ぶどうミクスには抗糖化作用もあると、熊沢先生は続けます。

「発酵ぶどうミクスによって、TNF‐αが抑制されていました。α‐グルコシターゼ阻害作用という働きによって食後高血糖が改善した結果、AGEsの蓄積が抑えられるのです。糖化のほかにも動物を使った試験では、潰瘍性大腸炎やリウマチに対する効果が確認されています。潰瘍性大腸炎については大腸の萎縮や出血が治まり、腸管内を調べるとTNF‐αも抑制されていましたリウマチについては関節の炎症が和らいでいます

基礎的な研究を積み重ねながら、熊沢先生は大学病院やクリニックの医師と連携して症例収集にも奔走しています。症例数はまだまだ少ないものの、実際に炎症性疾患の改善が見られているそうです。

「大阪の大学病院では主治医の協力のもと、潰瘍性大腸炎の患者さんにアサコール、ビオフェルミンといった薬と併用する形で、発酵ぶどうミクスを朝・昼・晩の食後に675㍉㌘ずつ飲んでもらいました。その結果、1ヵ月ほどで下血が止まり、腹部の違和感も治まったという報告を受けました。再燃したクローン病の患者さんでは、軟便の改善が見られたそうです。ステロイド治療を受けていた特発性間質性肺炎の患者さんについては、治療と併用することで、KL-6値などの数値や息切れの改善が見られています。ただし、固くなった組織が完全に元に戻ることはありません。カゼなど新たな引き金で症状が悪化する急性増悪を防いだり、薬の量を減らして生活の質を高めたりする効果はあると考えられます

ここまで、発酵ぶどうミクスの研究情報をご紹介してきました。ただし、ブドウにはたくさんの種類があります。白ワインに使われるブドウの果皮と種子を発酵した食品が、必ずしも同じ効果を発揮するわけではないので注意も必要です。

「例えば、同じイチゴでも品種が違えば味に差が出ます。成分が異なることを意味します。ブドウの健康効果を調べていった結果、最も優れた力を持っているのは、中央葡萄酒の契約農家で栽培されている甲州種ブドウであることがわかりました。甲州種は1000年以上の歴史を持つ日本固有の品種です。2010年には、『OIV』という国際的な機関にも品種登録されています。また、中央葡萄酒は産地証明つきのワインの販売を日本で初めて行ったメーカーとしても知られています。最近では海外からも注目を集める日本産白ワインの醸造過程で廃棄されていた果皮と種子に、大きな健康増進パワーがあったというわけです」

産地や品種などの情報も、発酵ブドウ食品を選ぶときの一つの基準になりそうです。そのほか、残留農薬などにも気をつける必要があるといえるでしょう。もちろん、甲州種を使った発酵ぶどうミクスの残留農薬は、検出限界以下であることが確認されています。

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