新芽野菜の生命力を最大化!発酵そばの芽で間質性膀胱炎の激痛や頻尿が治まるかもしれない

c9K52o6dQconqkP1455673803.jpg

穀類、豆類、野菜の種子を発芽させた新芽を意味するスプラウト。発芽玄米やブロッコリースプラウトは広く知られています。今回の主役はそばの新芽。乳酸発酵させることで、間質性膀胱炎の症状改善に役立つ可能性が示唆されています。

間質性膀胱炎とは、何らかの原因で膀胱の間質部(上皮と筋肉の間にある粘膜部分)が炎症を起こす病気です。間質部が硬くなって、膀胱が萎縮していきます。その結果、膀胱にためられる尿の量が少なくなり、頻尿や残尿感、尿意切迫感などが起こります。硬くなった膀胱の粘膜に尿がしみ込むことで膀胱の痛みや下腹部の張り、圧迫感などが起こることもあります。間質性膀胱炎については、海外を中心に研究が重ねられていますが、いまだにはっきりとした原因がわかっていません。原因の一つとして挙げられているのがアレルギーです。

大分県別府市にある中村病院では、酒本貞昭医師(同病院副院長・泌尿器科センター長)によって、間質性膀胱炎の患者さん11人(女性9人、男性2人、平均年齢60歳、試験期間は1ヵ月~1年)を対象に発酵そばの芽の有効性を検証する試験が行われています。11人の患者さんは、膀胱の痛み(膀胱痛)に悩まされていました。水圧拡張術の後に膀胱鏡による検査を行ったところ、出血が見られたため、間質性膀胱炎と診断されています。

11人の患者さんが治療と並行して乳酸発酵したそばの芽の粒食品を朝・昼・晩の食後に2粒ずつ、一日計6粒飲んだ結果、何らかの改善が見られた人が9人だったのに対し、症状が改善しなかったという人は2人だけだったそうです。ここでいう症状とは、排尿の状態、排尿時の問題点、頻尿や尿意切迫感などの改善度合い、痛みの改善度合いを間質性膀胱炎診療ガイドラインの質問に沿って総合的に判定したものです。

発酵そばの芽には、抗酸化作用、抗アレルギー作用のほか、コラーゲンやヒアルロン酸の合成を助ける働きがあります。

そばには穀物の中で唯一、「ルチン」が含まれています。ルチンはポリフェノールの一種で、抗酸化作用があります。昔から「そばは血管を強くする」といわれてきました。ルチンには血管を構成しているコラーゲンの合成を手助けする働きがあるからです。ルチンそのものが、血管を強くするともいわれています。そばにはトリプトファンやギャバなどのアミノ酸のほか、ビタミンやミネラルなど、私たちの体に欠かせない栄養素が豊富であることも見逃せません。

a7lBeUhErRRWdfc1455673956_1455673969.jpg

ルチンは、そば粉になる前の種子よりも芽に多く含まれています。富士山の麓で栽培されているそばを用いて信州大学で行われた試験では、発芽直後のそばの新芽には種子の2倍ものルチンが含まれることが判明。その後、新芽の成長に伴ってルチンの量は増加していき、発芽6日めでピークを迎えることも報告されています。そばの芽にはルチンのほかにもアントシアニン、オリエンチン、イソオリエンチン、ビテキシン、イソビテキシンといったポリフェノールが豊富です。

そばの芽に「乳酸発酵」というエッセンスを加えたのは、茅原紘先生(信州大学名誉教授)です。発芽後6日めで最大まで増えたルチンは、発酵によって「ルチン類縁体」と呼ばれる物質に変化します。代表的なルチン類縁体がケルセチン。タマネギの表皮にも含まれる物質です。ルチンと似た分子構造を持つケルセチンはルチン同様、強い抗酸化力を持っています。ケルセチンには、抗アレルギー作用もあります。海外の研究では、ケルセチンによってかゆみのもとになるヒスタミンの放出を抑えられることが確認され、抗ヒスタミン作用や抗炎症作用が期待できるといわれているのです。乳酸発酵によって、ルチンのほかのポリフェノールは発酵後にすべて増加することもわかりました。

発酵そばの芽には、発酵の過程で生まれる「乳酸菌生産物質」も含まれています。乳酸菌生産物質は乳酸菌そのものではなく、乳酸菌がみずから分泌する代謝物です。乳酸菌は乳酸菌生産物質をみずからの栄養分にして活動していますが、私たちの腸内にすむ乳酸菌(善玉菌)の栄養にもなるため、腸内環境の改善が期待できるのです。腸内環境の改善も、アレルギー症状の緩和に役立つといわれています。

前述した泌尿器科では、ぜんそくやアレルギー性鼻炎、蓄膿症といったアレルギー病のほか、冷え症や不眠症、高血圧、下肢静脈瘤など、さまざまな病気に悩む患者さんたちにも症状の改善が見られているそうです。

発酵そばの芽のエキスには、そばアレルギーを引き起こすたんぱく質が発酵の過程で除去されていることが確かめられています。それでも、そばのアレルギーは重篤な症状を招くことがあります。そばのアレルギーがある人は、念のために摂取を控えたほうがいいでしょう。

ソバの新芽を植物性乳酸菌で発酵させた健康食品

(画像はAmazon.co.jpより)

Back