真赤なリンゴ、ほおばって!果肉にもアントシアニンが含まれる紅の夢

e2tV1lyMYCaDz8t1453681925.jpg

青森県は、リンゴの生産量日本一を誇ります。現在、日本で最も多く栽培されているリンゴの品種は「ふじ」です。青森県にある弘前大学農学生命科学部附属生物共生教育研究センター藤崎農場で、ふじは誕生しました。ふじの名は、藤崎農場がある藤崎町に由来しているのです。

弘前大学では、リンゴの新しい品種の開発・研究をしています。いま注目されているのは、皮だけでなく、果肉の部分も赤く色づく「紅の夢」という品種です。紅の夢には、2つの機能性があることがわかりました。「抗酸化作用」と「糖吸収抑制作用」です。

紅の夢の果肉には、ふじや皮が黄色の品種である「王林」の1.5倍のポリフェノールが含まれることがわかりました。ポリフェノールは植物に含まれている成分。渋みや苦みがあります。ポリフェノールには抗酸化作用や抗腫瘍作用があると、これまでに報告されています。紅の夢には、ポリフェノールの一種である赤色色素のアントシアニンが皮と果肉の両方に含まれています。皮をむいても、アントシアニンをとれるのです。ジュースや焼き菓子にしても、きれいな赤色を楽しめます。

血糖値の上昇を抑える働きにも、注目が集まっています。リンゴには、腸の中で糖の吸収を阻害するフロリジンという成分が含まれています。紅の夢に含まれるフロリジンの量は、ふじよりも多いことが明らかになりました。実際に紅の夢を使って試験を行ったところ、腸の中で糖の吸収にかかわるα‐グルコシダーゼという酵素の活性を阻害して血糖値の上昇を緩やかにする結果が得られたのです。

近年、紅の夢をはじめとした果肉の赤いリンゴや味の甘い黄色いリンゴなど、新しい品種が次々と誕生しています。リンゴには食物繊維や有機酸など健康の維持・増進に役立つ成分も多く含まれています。産地や品種などに注目すると、新たな発見があるかもしれません。

Back