真っ赤に燃えた太陽の宝!南国・徳之島で生まれた日本初の赤い茶"サンルージュ"が持つ癒やす力
エメラルドグリーンの海に囲まれ、奄美群島のほぼ中央に位置する徳之島。「奄美・琉球」世界自然遺産登録候補地の一つで、希少な動植物が生息しています。サトウキビや南国ならではの果物の産地としても知られる徳之島で現在、地域の農業活性化のための大プロジェクトが進行中です。
あなたは徳之島の"サンルージュ"をご存じですか。茶中間母本農6号という品種がもとになっているお茶で、2009年に品種登録されています。サン(太陽)とルージュ(赤)を組み合わせた名前のとおり、サンルージュは赤い色のお茶です。赤色の正体はデルフィニジンというアントシアニン。アントシアニンはポリフェノールの一種で、紫外線から身を守るために植物が作りだした天然の色素成分です。ブルーベリーなどに含まれ、抗酸化作用が強いことで知られています。レモンやライムなどを絞って加えると、サンルージュは赤色から鮮やかなピンク色に変化します。お茶の味わいや機能性だけでなく色の変化も楽しめるとあって、南国育ちの新名物の注目度は日ごとに増しています。
宮崎の産学官研究が結実!実を結んだのは南国の日ざしを浴びた「葉」でした
サンルージュプロジェクトは、野菜茶業研究所、日本製紙、茶農園のタッグで進められてきました。赤い茶葉を育むには、南国ならではの強い日ざしと日照時間が必要です。苗の独自開発技術を持つ日本製紙のサンルージュ研究チームが候補地として選んだのが徳之島でした。太陽の光を確保した一方で、南国には台風が頻発することが懸念されていました。2009年に始めた栽培では、実際に被害を受けたそうです。それでも茶農園の皆さんの誠実な手仕事が実を結び、赤い茶葉の収穫は実現しました。5年前には1軒だけだったサンルージュの農家は現在、25軒まで拡大しています。
赤い茶畑の見ごろは4~8月。サンルージュに含まれるアントシアニンの量は、夏にかけて増えていきます。それに伴い、葉は赤く染まっていくのです。アントシアニンの含有量がピークを迎えるのは、わずか1日のみ。そのタイミングでサンルージュの収穫は行われています。"最高の日"を逃すと、色は褪めて緑色になってしまいます。ピークを見極めるために25軒の農家を1軒ずつ訪ねているのが徳之島製茶の工場長。色はもちろん、芽の伸び方と葉の広がりをチェックしているそうです。除草剤を使わずに雑草を手で抜いたり、台風の被害に悩まされたりすることがあるものの、茶農家の皆さんはサンルージュの栽培はおもしろいと話しています。
カテキンも豊富なサンルージュは、疲労の軽減に役立ちます。2014年に男女52人(20~39歳)を対象に行った試験では、眼精疲労の改善効果が確認されています。そのほか、抗ストレス作用や肝機能保護作用が認められています。現在、九州大学でも機能性の研究が行われています。見た目もきれいなサンルージュは、アレンジが楽しみの一つ。黒糖やハチミツ、ショウガやシナモンを入れて飲むのもおすすめ。素材の相乗効果で健康パワーが増します。
鹿児島県と徳之島天城町のバックアップを得て、さらなる作付面積拡大を目指しているという赤いお茶プロジェクト、今後も目が離せません。徳之島に行きたいです。