ブルーベリーの葉
果実の10倍の抗酸化パワーを持つ「ブルーベリーの葉」でウイルス病を撃退
ラビットアイという品種のブルーベリーの抗酸化作用に注目
マンゴーやキンカンなど、高品質の特産果樹の生産で知られる宮崎県。にわかに注目を集めているのが、「ラビットアイ」という品種のブルーベリーです。ブルーベリーと聞くと、紫色の「果実」を思い浮かべる人が多いでしょう。果実の色素成分「アントシアニン」というポリフェノールは、目の健康を守る手助けになると医学的にも証明されている栄養成分です。
今回ご紹介するのは、果実ではなく「葉」のチカラ。ブルーベリーの葉には、果実の10倍の抗酸化活性があることがわかっているのです。ブルーベリーの中でも、ラビットアイは特に強い抗酸化活性を持っています。アンチエイジングに欠かせない抗酸化活性をもたらしているのが、「プロアントシアニジン」というポリフェノールです。南国宮崎の日ざしを浴びる夏になると、葉に含まれるプロアントシアニジンの量が増えていくことがわかっています。
南九州は、ウイルス性の病気が多いことで知られています。風土病ともいわれる「成人T細胞白血病(ATL)」をはじめ、C型肝炎などウイルス性肝炎も少なくありません。ラビットアイの機能性は、こうした病気を食の機能により予防・改善することを目的とした「宮崎県地域結集型共同研究事業」「食の機能を中心としたガン予防基盤技術創出」など、産学官で研究されてきました。具体的には、高い血圧を下げる働き、C型肝炎ウイルスが増えるのを抑える働き、脂肪肝を予防する働き、肝臓ガンの発症や悪化を防ぐ働き、ATLの悪化を抑える働きなどが報告されています。
ブルーベリーフにはインターフェロンを増やす働きがあった
宇都浩文先生(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)が取りまとめた「肝発癌予防につながる高機能性食品の探索」(『Functional Food』2009Vol.3No2)という論文をもとに、ラビットアイの葉のチカラを紹介していきましょう。
肝臓病は、日本では死亡率こそ高くはありませんが、患者数はガン、心臓病、脳卒中に次いで第4位といわれています。肝臓病の原因はアルコールや薬などさまざま。最も注意する必要があるのがウイルスです。日本では、肝炎の大半は肝炎ウイルスが原因のウイルス性肝炎とわかっています。日本におけるウイルス性肝炎の患者・感染者数は、B型肝炎も含めると推定350万人。ただ、肝炎ウイルスへの感染を自覚している人は半数に過ぎません。
「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓は、肝炎をはじめとする肝臓病になっても重篤になるまで症状が現れません。ウイルス性肝炎はほうっておくと慢性肝炎や肝硬変、肝臓がんへと進行します。実際、肝臓がん発症の原因の70~80%は、C型肝炎ウイルスの感染による慢性肝炎や肝硬変であるとわかっています。
C型肝炎の治療法として、C型肝炎ウイルスの排除や肝炎の進行抑制を目的とする「インターフェロン療法」がまっ先に挙げられます。ところが、効果の上がらない患者さんや、高齢で治療を受けられない患者さんは少なくありません。
C型肝炎の悪化には、酸化ストレスが関与することがわかっています。抗酸化作用のある食品は、病状改善に役立つと可能性を秘めています。実際、ブルーベリーの葉を熱水で抽出したエキスには、C型肝炎ウイルスの増殖を抑制する働きがあることが報告されています。10μg/ml以上の高濃度では体に有害となるものの、毒性のない濃度でインターフェロンと同程度のウイルス増殖抑制効果が得られたのです。こうした働きをもたらしていたのが「プロアントシアニジン」。肝臓の線維化を進める「星細胞」という細胞の増殖を抑制することも確認されました。
現在、ラビットアイの葉は、お茶やサプリメントとして製品化されています。「宮崎大学・宮崎県共同開発」という表示を目印に選ぶといいでしょう。最近では、葉に果実の栄養成分を配合した、より高品質の製品も登場しているようです。疲れた目を癒す働きも期待されています。