トマトサポニン
リコピンを凌駕する注目の健康成分「エスクレオサイド」で動脈硬化が改善
世界初!リコピンを上回る健康成分の結晶抽出に成功
熊本県はトマトの生産量日本一を誇ります。「桃太郎」という品種が有名です。トマトは美容・健康に有益な緑黄色野菜の一つとして知られています。実際、トマトをたくさん食べている地域では、ガンの罹患率が低いというデータが報告されています。トマトをはじめとするナス科の植物が、日本や中国で抗腫瘍の薬として食されてきた歴史も見逃せません。
トマトの健康効果をもたらしているのは、これまで赤い色素成分「リコピン」だと考えられてきました。リコピンには、抗酸化作用や抗腫瘍作用があるとわかっていたからです。
野原稔弘先生の研究グループ(熊本大学大学院医学薬学研究部)は、成熟したトマトから新たな健康成分を世界で初めて結晶抽出することに成功しました。それがトマトサポニン。厳密には、「エスクレオサイドA」というステロイド配糖体を指します。糖とほかの物質が結合した化合物をサポニンといい、そのうちの一つがエスクレオサイドAです。研究を続けた結果、トマトサポニンはリコピンとは異なる働きで健康効果を発揮することが明らかになりました。「成熟したトマトにはサポニンは存在しない」という定説を根本から覆すもので、一連の研究成果は世界的な学術雑誌『テトラヘドロン』にも掲載されています。
では、トマトサポニンは体内でどのような働きをするのでしょうか。『テトラヘドロン』に報告された内容を、簡単にご説明しましょう。
トマトサポニンを食べると、一部は腸から吸収されます。その後肝臓に運ばれ、ステロイドホルモンという物質に変化します。ステロイドホルモンは「ホルモン」という名のとおり、生体機能の調整をしています。高血圧や糖尿病、更年期障害や骨粗鬆症などを改善する働きがあるのです。
動物実験では、抗腫瘍作用が証明されています。人間の乳ガン細胞と、マウスのメラノーマ(悪性黒色腫)細胞に、濃度の違うステロイド配糖体を加え、48時間後にガン細胞の数を測定しました。その結果、両方の細胞の減少が確認され、ガン細胞の増殖抑制効果が明らかになったのです。そのほか、動脈硬化やヘルペスウイルスが原因で起こる病気の予防にも役立つ可能性が示されています。
皮ごとミキサーにかけたトマトジュースがおすすめ
これらの実験に使われたのが、熊本県産の「桃太郎」。ミニトマトなどの生食用と、加工用のサルマルツァーノ種です。近年の研究では、大きめのトマトより、ミニトマトや中玉のトマトのほうが、トマトサポニンを多く含んでいることがわかっています。
ただ、トマトサポニンは市販のトマトの缶詰や、濃縮還元ジュースにはほとんど含まれていません。加熱して減菌処理するさい、成分が変質してしまうのです。
自宅で継続的にトマトサポニンを摂取するには、ヘタを取ったミニトマトを皮ごとミキサーにかけてジュースにするといいでしょう。トマトサポニンは、果肉のゼリー状の部分に多く含まれています。一日の適量は、ミニトマト4~5個。一度で大量に作って冷凍保存するのもおすすめです。
最近では、トマトサポニンを凝縮した健康食品も販売されています。残留農薬基準を定めたポジティブリスト制度、食品衛生法への適応はもちろん、日本国内の基準によって減菌・殺菌、有害物質のチェック・除去が徹底されています。安心・安全、そして効率的にトマトサポニンを補うことができるでしょう。