黒ニンニク栽培のノウハウから生まれた黒ゴボウ!知られざる3つの機能性をご紹介します
皆さんもご存じのように、ゴボウは古くから日本で食べられている食品です。ゴボウは食物繊維が豊富で、中国では漢方薬としても使われる根菜類です。ゴボウの生産量日本一を誇るのが青森県。「やませ」の影響を受けて夏でも冷涼な気候であることや、柔らかな土壌がゴボウの栽培に適しています。冷涼な土地は根菜類の作づけに最適で、土質が柔らかいとゴボウは土の深くまで伸びることができます。
青森県では農業はもちろん、農作物の加工品の生産にも力を入れています。その代表が高温・高湿圧で加工した「黒ニンニク」です。黒ニンニクは、刺激やにおいのもとになる物質を加工の過程で除去するため、気軽に食べることが出来ます。黒ニンニクは抗酸化作用や抗ガン作用といった機能性が明らかになっている食品です。
黒ゴボウは、黒ニンニクの栽培で培った技術を応用して開発された新しい食品です。保存性が高く、独特のうまみと香りが特徴です。弘前大学農学生命科学部の前多隼人先生と、弘前大学地域共同研究センター、青森県中小企業団体中央会、柏崎青果による共同研究の結果、黒ゴボウには3つの機能性があることがわかりました。
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黒ゴボウや黒ニンニクの黒褐色の物質は、糖とアミノ酸の化合物であるメイラード反応化合物(メラノイジンという褐色物質)です。過去の研究では、メイラード反応化合物には抗酸化作用があることが報告されています。黒ゴボウに含まれる成分をくわしく調べたところ、黒ゴボウの水溶性成分には強い抗酸化作用があることがわかりました。黒ゴボウと加工していないゴボウの抗酸化作用を比較した実験では、黒ゴボウ水抽出物には未加工のゴボウ抽出物に比べて、強い抗酸化作用があることがわかりました。ゴボウを黒ゴボウに加工することで、抗酸化作用が増すという現象が実証されたのです。
糖尿病は、生活習慣病の改善の中でも、特に食後高血糖の状態を短くすることが重要だといわれています。食物の中にはα-グルコシターゼという酵素を阻害する働きを持つものがあります。α-グルコシターゼの阻害物質を含む食品は、糖の吸収を緩やかにして食後の血糖値の上昇を抑える働きがあることから、糖尿病の予防効果が期待されています。黒ゴボウ水抽出物のα-グルコシターゼ阻害作用を測定したところ、加工していないゴボウよりも高いことがわかり、食後血糖値の上昇を抑える働きがあることが示されました。マウスを使った実験でも同様な効果が得られ、黒ゴボウには糖尿病の予防につながる機能性があることがわかったのです。
マウスを使った動物実験によると、アルコール飲料を与えることによって増えた血しょう総コレステロール、リン脂質濃度が黒ゴボウを与えることによって、減少する傾向が見られました。また、黒ゴボウを与えたマウスは、アルコール飲料を与えることによる肝臓脂質の増加が抑えられました。この結果から、黒ゴボウは脂肪肝を退ける働きを持つことが示唆されました。
これらの研究によって、黒ゴボウは加工していないゴボウより抗酸化作用が強く、血糖値の上昇も抑えてくれることが明らかになりました。黒ゴボウは、形が不ぞろいなゴボウでも原料として使用できるため、これまで廃棄されていた農作物の有効活用が可能になります。黒ゴボウを中心としたゴボウ製品の健康機能性を明らかにすることで、ゴボウの価値がさらに高まり、産地のブランド化を図ることができるでしょう。弘前大学では、ほかにもさまざまな産学官連携の研究に取り組んでいます。前多先生は、「これからも地域の方たちの健康の維持・増進に貢献していきたい」と話しています。