自然との調和と共生!間伐材から抽出される"地杉精油"のラボ見学で屋久島に行ってきた

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屋久島生まれの"森の香り"をご紹介します。世界自然遺産として知られる屋久島といえば"屋久杉"。屋久杉は「屋久島の標高500メートルを超える山地に自生する樹齢1,000年以上のスギ」と定義されています。それに対し、樹齢1,000年未満のスギは"小杉"と呼ばれます。今回の主役は屋久杉でも小杉でもなく「地杉」。地杉とは、人工植林されたスギのことです。

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スギの樹齢は通常、長くても500年程度。屋久島のスギは長寿です。屋久島のほとんどは花崗岩で形成されています。屋久島のスギの成長は、とてもゆるやかです。木目が詰まっていて、樹脂も豊富で腐りにくい性質を持っています。雨が多くて湿度も高い中、身を守るための知恵といわれています。樹脂が多いため、屋久島のスギは精油の抽出に最適です。

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今回、キャンパスラボのメンバーと"やわら香"を訪ねました。やわら香では、屋久島の里山の森から搬出した地杉を活用しています。輸入された木材が安く入手できるようになり、屋久島でも林業の後継者不足が問題となっています。スタッフ(多くは島外からの移住者!)は、高齢になって管理ができなくなった山を所有者といっしょに手入れしています。地杉を間伐することで、鬱蒼としていた森には光が差し込み、大地で新たな命が芽吹くチャンスが生まれるそうです。

間伐された地杉は、精油をはじめ、さまざまな香りの商品へと姿を変えていきます。また、屋久島の伝統的な工法で新たな施設も建設されています。やわら香のショップやラボ、スパなどは、屋久島の木材を使って昔ながらの工法でできています。建物の中に入った瞬間、森の優しい香りが広がっています。

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間伐された地杉からは、幹と枝葉の精油が抽出されています。精油の抽出には、水蒸気蒸留法が採用されています。"蒸し器"の要領で原料をセット。水蒸気とともに上方に運ばれてきた芳香成分を冷却装置で随時、冷やしていきます。その結果、精油と芳香蒸留水が落ちてくるのです。精油と芳香蒸留水は、比重の差で二層に分離します。先ほど屋久島のスギは精油の抽出に適していると紹介しましたが、それでも採れる量は15キロの原料に対してわずか30ミリ。日本産精油がとても貴重であることがわかります。なお、蒸すときの水には屋久島の天然水が使われています。

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地杉の幹から採れた精油には、「セドロール」という香り成分が一般的な杉の15~20倍含まれていることがわかっています。セドロールは、自律神経に働きかけて呼吸数や心拍数をゆるやかにする"リラックス効果"があることで知られています。快眠を助ける香りとして、地杉精油は注目されているのです。一方の枝葉の精油は、シャープでスッキリした香りが特長です。森林浴気分を楽しむことができ、リフレッシュに最適な精油といえるでしょう。

やわら香では、芳香成分を抽出した後に残るブレスチップ(いわゆる残渣)のエネルギーとしての再利用にも取り組んでいます。今後の展開にも注目です。

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