帯状疱疹や乾癬がみるみるよくなる!免疫力の要"腸内フローラ"とは

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近年、帯状疱疹や乾癬といった肌のトラブルが増加傾向にあります。帯状疱疹は水ぼうそうのウイルスが原因となる病気で、加齢やストレス、疲労などで免疫力が低下したときに、神経節という神経の中継所に潜伏していたウイルスが再活性化して発症します。

一方の乾癬は、皮膚から少し盛り上がった赤い発疹(紅斑)の上に、銀白色のフケのような鱗屑が付着し、ポロポロと剥がれ落ちる病気です。乾癬の原因は解明されていませんが、免疫の異常が起こりやすい体質の人に、気候や感染症、薬剤、ストレスなどの外的要因と、肥満や脂質異常、糖尿病などの内的要因が加わって発症するのではないかと考えられています。

帯状疱疹や乾癬の症状を改善するためには、免疫の正常化が欠かせません。そこでいま、注目を集めているのが「自律神経」と「腸内フローラ」です。

自律神経は全身に張り巡らされた神経の1つで、意思とは無関係に臓器や血管の働きを支配しています。自律神経には、心身を活動させるための交感神経と、心身を休息させるための副交感神経の2種類があり、1日の中でシーソーのようにバランスを取り合っています。

通常、昼間は交感神経が活発になって、心身の活動を促します。そのさい、免疫細胞である白血球の中では、細菌(100分の1㎜程度)などの"大きな外敵"を攻撃する役割を持つ顆粒球の割合が増えます。

夜は副交感神経が活発になって、心身の休息を促します。このとき、白血球の中では、ウイルス(10000~1000000分の1㎜程度)など"小さな外敵"を退治する役割を持つリンパ球の割合が増えます。

肉体的・精神的に無理を重ねると交感神経が過度に緊張し、顆粒球の割合が高くなります。顆粒球は活性酸素(酸化作用の強い酸素)を出して外敵を攻撃するので、増えすぎた顆粒球から過剰に出された活性酸素で全身の細胞や粘膜が破壊され、炎症や潰瘍になってしまいます。現代人の病気のほとんどは、交感神経の過度な緊張から引き起こされているといってもいいでしょう。

自律神経のバランスを整えるには、腸内環境を良好な状態に保つことが重要です。腸は、副交感神経が支配しています。副交感神経を優位にするには、腸の働きを高めることが重要です。

人間の腸は、全身の免疫細胞の60~70%が存在する人体最大の免疫器官です。腸内には、多種多様な腸内細菌が生息しており、100種類以上、約1000兆個に上ります。特に小腸から大腸にかけて、さまざまな腸内細菌が種類ごとにグループを形成してまとまり、腸の壁面に生息しています。顕微鏡で腸の中をのぞくと、植物が群生しているお花畑のように見えることから、腸内フローラと呼ばれるようになりました。

私たちの腸内には、腸内フローラを構成する乳酸菌などの善玉菌、大腸菌などの悪玉菌、善玉菌と悪玉菌のどちらにも属さない日和見菌が住んでいます。善玉菌と悪玉菌は、腸の中で勢力争いを続けています。腸内勢力争いを続けています。腸内環境を左右する腸内フローラを善玉菌優勢な状態に保つことで、副交感神経の働きが促され、交感神経とのバランスが整えられるのです。

ところが、加齢や過剰なストレスによって腸内フローラが乱れて善玉菌が減ると、悪玉菌が優勢になって腸内環境が悪化。腸内環境を支配する副交感神経の活動が抑えられ交感神経が緊張するようになります。その結果、顆粒球の割合が増加して白血球のバランスが乱れ、さまざまな病気を引き起こしてしまうのです。腸内環境を左右する腸内フローラを良好な状態に保ち、自律神経のバランスを整えることの大切さは、医療の現場でも広がりを見せています。自律神経と腸内フローラの働きを知ることは、帯状疱疹や乾癬などによる皮膚の炎症や痛み、かゆみの改善に大きく役立つことでしょう。

安保 徹先生(新潟大学名誉教授)

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