水分不足は脳の衰えの元凶!1日1500㎖の水で認知症が改善する!?

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1日1500㎖以上の水を飲むこと。これが何よりの認知症の予防と治療になる――40年以上、認知症治療とかかわってきた私の結論です。私たちの体の半分以上は水でできています。体に含まれている水分は、子どもが75%、成人が60%、高齢者が50%といわれています。水風船のように体内にとどまっているのではなく、さまざまな組織をめぐり回りながら、生命活動にかかわる重要な働きをしています。

体を維持するために、不要な物質を浄化したりリサイクルしたりするのも水の役割です。体からは毎日2400~2800㎖もの水が排出されています。細胞内でエネルギーが生み出されるとき、1日に200~300㎖の水分が作られます。飲料を除いた食事からは、毎日700~1000㎖の水分をとっています。合計で900~1300㎖。約1500㎖の不足分はお茶や水、ジュースなどで摂取する必要があるのです。体内の水分が1~2%でも失われると、意識障害を起こします。体重50㎏の人なら250~500㎖の水、つまり小さなペットボトル1本分が不足しただけで、脱水症状を起こしやすくなってしまうのです。

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水分不足が解消されると、意識がはっきりするようになります。高齢者に多い便秘が治まり、体調もよくなります。さらに、十分な栄養をとって、適度な運動を行うと、認知症の症状が著しく改善するのです。私は、これを「水・メシ・クソ・運動、4つのケア」と呼んでいます。私は認知症の患者さんを介護されている家族を対象に、多くの自治体で講習会を行っています。

講習会は月1回、6ヵ月間にわたって実施します。講習会に参加した方には、大変喜んでいただいています。ものを盗まれたという妄想で娘さんとぎくしゃくした状態だったという81歳の女性は、認知症の症状が治まって穏やかになり、娘さんと仲のいい関係に戻ることができました。食事や排便もままならなかった若年性アルツハイマー病の62歳の男性は、毎日3000㎖の水を飲むことで正常な生活を取り戻したのです。

講習会では、家族が気になっている症状が半年後にどのように変化しているかを報告してもらっています。家族が悩んでいる症状は、「日中寝ていることが多くボーッとしている」「曜日や日時がわからない」「ものを置いた場所がわからない」「夜、トイレ以外で用を足す」「声かけをすると興奮し、暴言を吐く」などさまざまです。講習会ごとに結果は異なるものの、認知症の症状が消失したのが63~74%、ほぼ改善したものも含めると72~94%にも上ります。顔つきがしっかりしたという声は多く、徘徊や暴言、暴力なども、患者さんに水を多く飲んでもらうことで、症状が1~2日で軽快する例が多数確認できています。

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認知症の患者さんは、昼間はボーッとしていて、夜になると騒いだり暴れたりすることが少なくありません。その原因は、日中にとる水分量が少ないからだと私は考えています。夜の失禁が心配で、水を飲ませないようにする家族も多いと思います。ところが、水分不足になると体の機能が正常に働かず、かえって症状が悪化します。

私の経験では、患者さんが水分を十分にとることで、排泄が正常になる場合が数多くあります。水は冷たくても熱くても、本人が気持ちよく飲めるものであれば、ジュースやコーヒー、紅茶などでも問題ありません。観点ゼリーで水分を補給するという方法もあります。ただし、糖尿病や肥満の人は甘い飲み物はさけるようにしましょう。認知症の患者さんが飲みたがらないときは、体が水分を要求しているタイミングで飲み物を出すようにしてください。

おすすめは、朝の起き抜け。患者さんがのどの渇きを感じていなくても、体は水分を要求しているので自然と飲み物に手が出るはずです。家族もいっしょに飲むようにするといいでしょう。「行動感染」といって、人は他人の行動につられて水分補給をすることも多いからです。どんな小さな行動でも「動いたら飲む」を習慣にしたり、手の届くところにいつも飲み物があるようにしたりするのもいい方法です。ただし、アルコールは利尿作用があるので、水分補給にはなりません。体の水分が尿として大量に排泄されるからです。水分制限のある腎不全を起こしている人は医師と必ず相談するようにしてください。

竹内孝仁先生(介護予防・自立支援リハビリテーション研究会会長)

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