透析中の腰痛が敷くだけでらくになる!HSPという温熱たんぱく質を増やす温泉ラバー

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熊本市にある私のクリニックには、人工を受ける患者さんが多く訪れます。そうした患者さんに、私はかれこれ20年近くも、新潟県ので採掘された純度の高い石灰石を練り込んだ発泡ゴムの器具(温泉ラバーと同じもの)を使っています。

私のクリニックにおいて、人工透析(血液透析)の患者さんは1週間に3回、ベッドの上で5時間程度を透析に費やします。ベッド上での治療のために、患者さんには腰痛を抱えている方も一定の割合でおられます。

私のクリニックでは、透析治療が少しでも快適になるように透析中のベッドに温泉ラバーを敷いて、腰痛の改善を図っています。人によって腰痛軽減効果に差はありますが、実際、多くの患者さんが「腰痛が軽くなった」と喜んでくださっています。透析を受けるたびに温泉ラバーの上で寝ていると、徐々に腰痛が軽減していくようです。

私が温泉ラバーに関心を持つようになったのは、いまから20年前。総合病院に勤務していたときです。腰痛のために車イスを使わないと移動できなかった患者さんが、温泉ラバーを使って1ヵ月ほどで腰痛が改善し、歩けるようになるのを目撃したのです。この出来事をきっかけに、私は温泉ラバーを使っている患者さんから話を聞くようになりました。すると、腰痛をはじめとするいろいろな痛みが改善する人の割合が多いことがわかったのです。

以来、腰痛の改善法について患者さんから相談されると、温泉ラバーを使うという方法もあるとすすめるようになりました。私のアドバイスで温泉ラバーを使うようになった患者さんからも、腰痛が改善する例が多く出てきたのです。

残念ながら、なぜ温泉ラバーが腰痛などに改善効果があるのか、しくみがしっかりと解明されているわけではありません。ただ、私は臨床医ですから、自分の経験、つまり、温泉ラバーによって腰痛が治りやすいという事実を重視します。ですから、クリニックで透析患者さんに使っているのです。

しくみは完全には解明されていませんが、ある程度のことは推測できます。温泉ラバーは純度の高い石灰石を含んだ特殊な構造の合成ゴムでできており、遠赤外線を放射して体を温める温熱効果があるようです。この温熱効果で血流が促されることで、新陳代謝が促進されて、痛みが取れるのかもしれません。

その証拠に、軽い肩こりであれば、温泉ラバーを当ててマッサージするだけで治ってしまうことが多いのです。肩こりは筋肉のコリによって血行が悪くなった状態ですから、温泉ラバーの効果が実感できるよい例といえるでしょう。

最近の研究では、体を温めると温熱たんぱく(ヒートショックプロテイン、HSP)というたんぱく質が体内に増えるということがわかってきました。ヒートショックプロテインは、傷んだ細胞を修復したり、乳酸(疲労物質)の発生を遅らせたり、免疫細胞の働きを活性化する働きがあるそうです。

温泉ラバーの温熱効果とヒートショックプロテインの関係が研究によって明確になれば、温泉ラバーが腰痛などを改善するしくみも解明されるかもしれません。

温泉ラバーを皮膚に当てても温熱治療器やカイロのような熱は感じませんが、当てた部分だけがほんのりと赤くなります。皮膚が赤くなっているのに熱く感じないのは、おそらく皮膚の表面だけでなく、体の深い部分の血行がよくなっているからでしょう。温泉ラバーには、このような目に見える温熱効果があります。当てていてもカイロのように熱くならないので、やけどをすることもありません。実は私も、10年ほど前から腰に巻くベルトタイプやシート状の温泉ラバーを使用しています。

腰痛は、気温が下がる冬に増加する傾向があります。腰痛にとって最大の敵は、体の冷えといえるでしょう。

腰痛に限らず、多くの場合、病気を改善させたり、健康状態を維持したりするためには、体温が低くならないようにすることが非常に重要です。これは、私の専門である病にもいえることです。体温を高く保つために重宝するのが温泉ラバーだと、私は感じています。

福井博義先生(中央仁クリニック理事長)

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