野菜を最初に食べて老化の原因物質「AGE」の蓄積を抑えましょう!

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AGE(終末糖化産物)は体の組織を構成するたんぱく質を糖まみれにして機能を奪ったり、AGEの受容体(物質から刺激を受けとって細胞に情報を伝える器官)であるRAGEに結合して炎症を引き起こしたりします。AGEは、糖尿病性腎症をはじめとする慢性腎臓病(CKD)だけでなく、白内障や脂肪肝、骨粗鬆症、脳卒中、心臓病、がん、認知症など、さまざまな病気の原因となり、全身の老化を引き起こす危険性があるのです。

人間の体の細胞や組織は、ほとんどがコラーゲン(膠たんぱく質)などのたんぱく質で構成されています。特に、コラーゲンは人体のたんぱく質の30%を占め、血管壁や皮膚もコラーゲンが主な成分です。コラーゲンの繊維は規則的な網目状になっており、お互いが橋をかけたように結びついています。さらに、エラスチンというたんぱく質が網目のすきまを埋めて、組織に弾力性を与えています。

血糖値が高い状態が続くと、コラーゲンなどのたんぱく質に過剰となった糖が結びつくようになります。これを糖化反応と呼びます。すると、その一部はアマドリ化合物(変性した糖)という物質に変わります。アマドリ化合物がさらに糖化反応をくり返すと、最終的にAGEという糖毒物質が作られてしまうのです。

AGEは、腎機能が低下すると体内で作られやすくなることがわかっています。さらにAGEは、私たちがふだんからよく口にする食品にも含まれており、AGEをたくさん含む食べ物を摂取することでも体内に取り込まれます。飲食物に含まれるAGEをとると、約10%が腸管から吸収され、そのうちの3分の2が体内に蓄積すると考えられています。

AGEを多く含む飲食物で注意したいのは、肉や魚などを加熱したときに生じる焼きめや焦げ目です。香ばしい褐色の部分がAGEそのものなのです。とくに、動物性脂肪の多い食品を高温で焼いたり揚げたりすると、AGEはたくさん作られます。動脈硬化(血管の老化)の元凶であるAGEの蓄積を未然に防ぐには、血糖値の管理と同時に、AGEが含まれる飲食物の摂取をできるだけ控え、血管の老化を遅らせる必要があります。ただし、糖は体にとって重要なエネルギー源のため、過剰な制限をしてしまうのは危険です。

そこで、私がおすすめしているのが、食べる順番や調理法を少しだけ工夫するというものです。食後は誰でも血糖値が上がりますが、食後血糖値の上昇の度合いが急激だったり、高血糖状態が長く続いたりする場合、AGEは多く蓄積されます。同じ食品を食べたとしても、食べる順番によって食後に高血糖になる時間が変わってくることがわかっているのです。

例えば、トンカツ定食を食べる場合、炭水化物であるご飯を先に食べ、次にトンカツ、最後にキャベツを食べると、食後血糖値の上昇度合いが急激になります。ところが、先にキャベツを食べるだけで、食後血糖値の上昇度合いが緩やかになるのです。

これまでの研究で、炭水化物や肉より、野菜やキノコ類、海藻などを先に食べると、食後に高血糖の状態が続く時間が短くなることがわかっています。また、同じメニューの場合でも、ゆっくりと1時間かけて食べるのと、かき込むように10分間で食べる方が急激に血糖値が上昇します。食後の血糖値の急上昇を抑えてAGEの蓄積を防ぐためには、よく噛んでゆっくりと食事をとることが重要なのです。

調理法でも、AGEの産生量は変わってきます。揚げ物や焼き物、電子レンジで調理した食品など、短時間のうちに高温で加熱処理する料理では、調理過程で多くのAGEが作られます。その一方で、水を多く使って低温で煮たりゆでたりすれば、AGEが作られる量は少なくてすみます。清涼飲料水にも、体内に入るAGEを作りやすい性質を持つ糖(フルクトースなど)が甘味料として使われていることが少なくありません。フルクトースなどの糖は、ブドウ糖の10倍量のAGEを作るうえに依存症が強く、どんどん欲しくなるという研究結果もあります。

飲食物だけでなく、喫煙も体内のAGEを増やします。タバコは収穫したタバコの生葉を高温で乾燥させて作るため、製造過程でAGEが作り出されます。タバコに含まれるAGEの10%が体内に取り込まれ、喫煙年数が長いほど、AGEは多く体内に蓄積されています。

喫煙が細胞のがん化や動脈硬化などを引き起こす一因であることは、広く知られています。体内に蓄積されるAGEをこれ以上増やさないためには、一刻も早く禁煙することが望まれます。禁煙と同時に、ハンバーガーや揚げ物、清涼飲料水ばかり食べるような生活をしているという人は、ただちに改めるべきでしょう。

太田博明先生(国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授)

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