薄毛や抜け毛はストレスを知らせるサイン!"サイコダーマトロジー"で髪の悩みを一掃
あなたが抜け毛の増加や薄毛で悩まれているとしたら、病院の何科を受診するでしょうか。抜け毛や薄毛、白髪などは、「頭皮」に原因があります。頭皮には髪を作り出す製造工場ともいえる「毛母細胞」があるからです。髪に関する診療は、頭皮を診察する皮膚科が主体となって行います。毛母細胞は頭皮の毛根にあり、アミノ酸などの栄養を受け取って髪を作り出しています。毛母細胞が弱ると、髪の製造にも支障をきたしています。毛母細胞の働きは、毛周期(ヘアサイクル)に従っています。毛周期は「成長期」「退行期」「休止期」というサイクルからなります。老化によって成長期が短くなり、早く休止期に入る髪が増えると、髪は徐々に薄くなっていきます。毛周期がくずれる原因として挙げられるのが、老化です。老化は誰にも止められるものではありませんが、老化による薄毛や抜け毛の進み方・起こり方には個人差があります。同じ年齢でも、進行が速い人もいれば遅い人もいます。
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老化のスピードは、生活習慣病によって差がつくと考えられています。例えば、偏った食生活を続けていると、頭皮や髪の栄養に偏りが出るため、髪の成長にも悪影響を与えます。睡眠が十分でないと、疲労や精神的負担(ストレス)などが解消されず、髪にも負担がかかります。ふだんの何気ない生活が、髪にも大きく関係しているのです。毛母細胞は血液から栄養をもらっているため、頭皮の血行をよくしておくことも大切です。老化が原因の症状に、髪全体が薄くなる「びまん性脱毛症」があります。びまん性脱毛症には、特定の部分が薄くなる男性型脱毛症(AGA)に対する女性型脱毛症(FAGA)も含まれています。年齢とともに進む老化によって毛母細胞の新陳代謝が衰え、髪を作り出す活動が低下してしまうのが原因です。
最近では、びまん性脱毛症のほかに、「円形脱毛症」に悩む女性も増えています。円形脱毛症の原因は、まだ解明されていない部分があります。原因の一つとして、免疫の異常によって毛母細胞がうまく働かなくなることが考えられています。女性にとって薄毛や抜け毛は外見への影響から大きなストレスとなります。場合によっては生活の質(QOL)が低下するほど強いストレスを抱えてしまう人もいます。1人で悩む前に、ぜひ専門医を訪れ、適切な治療を受けてほしいと思います。薄毛・抜け毛の治療において、皮膚科医の私が大切にしているのが「サイコダーマトロジー」という考え方です。サイコダーマトロジーは「精神皮膚科学」とも呼ばれます。患者さんが抱えるストレスを分析しながら、原因や背景を考えて治療を行っていくというものです。皆さんも、恥ずかしくて赤面したり、恐怖で顔が青ざめたりした経験があるでしょう。私たちの心の動きは、皮膚の変化と密接に関係しているのです。
髪や皮膚に関する悩みやトラブルは、世代に関係なく存在します。中でも特に強いストレスを受ける時期には注意が必要だと考えられます。私が勤める東京女子医科大学付属女性生涯健康センタ-で行った調査において興味深い分析結果がもたらされているのでご紹介しましょう。
2004~2010年の間に皮膚科受診した1458人の女性を分析したところ、最も多い年齢層は45~49歳でした。この年齢層は、家庭で子供の受験に直面したり、職場で責任あるポジションを任されたり、親の介護に奮闘していたりする人が多いという特徴があります。人生の大きな節目を迎えるような時期は、ストレスを抱えやすいだけでなく、体調もくずしやすく、髪や皮膚にも悪影響が及ぶ時期といえるのです。重要なのは、薄毛・抜け毛を「体からのサイン」ととらえ、一度立ち止まってみることです。食事の栄養は偏っていないか、睡眠は毎日十分に取れているか、過度なストレスを感じていないか、自分に問いかけてみてください。家事や仕事で忙しい中でも生活を見直して、ストレス軽減のきっかけにすることが大切です。
檜垣裕子先生(東京女子医科大学教授)