幻のアケビ油が復活!果皮粉末のダイエット効果も期待される秋田県のアケビ研究
秋田県仙北市は、ツル性の植物であるアケビの産地として知られています。秋田県や山形県では、白い果肉のほか、肉厚の果皮はさまざまな調理方法で食されてきました。また、江戸時代には、アケビの種から油が抽出されていました。"食用油の王様"と呼ばれ、江戸や京都の料亭などで使用されてきた歴史を持っています。しかし昭和以降、安価な食用油の登場によってアケビ油づくりは途絶えたといわれています。
近年、秋田県では、秋田独自の食文化の復活や付加価値の高い産業化を目指した取り組みが続けられてきました。秋田大学の池本敦教授と、秋田県雄和市にある坂元バイオによる共同研究はその一つです。「平成 22 年度地域イノベーション創出研究開発事業」という東北経済産業局の事業を活用して、アケビの美容・健康健康効果について試験を重ねてきました。その結果、アケビの果皮にはリパーゼ素材作用があることが明らかになってきました。リパーゼとは中性脂肪を分解する酵素のことで、脂質代謝に影響を及ぼします。アケビの果皮によって、体重抑制効果が得られることがわかったのです。マウスを使った実験では、生活習慣病を引き起こす内臓脂肪の蓄積を抑制する結果が得られています。アケビの果皮を与えなかったマウスに対し、アケビの果皮を与えたマウスでは、内臓脂肪の蓄積が30%も抑えられたという内容です。そのほか、アケビの果皮の抗酸化作用も確認されています。現在、アケビ果皮乾燥粉末を使った食品が販売されています。
その後も、アケビの研究は続けられました。2017年2月には、10年の歳月を経て、アケビ油が復活しました(200本という数量限定)。一般的な植物油はトリアシルグリセロール(3本の脂肪酸)で構成されているのに対し、アケビ油のほとんどは1つの脂肪酸が酢酸に置き換わったジアシルグリセルアセテート(2本の脂肪酸と酢酸)で構成されているのが特長です。そのため、アケビ油は太りにくい油といわれています。自生しているアケビが少量であるのが現在の課題ということですが、昔ながらの伝統に機能性という新たな価値を加えた産業としての発展に期待が寄せられています。