高知の海幸で健康増進!初カツオに豊富に含まれるアンセリンの抗疲労効果

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海に囲まれた日本では、季節ごとに獲れる旬の魚介類があります。アイナメ、タコ、ハモなど、春が旬の魚の中でもこの時期に獲れるカツオは〝初ガツオ〟と呼ばれ、高知県の特産品として知られています。都道府県別にカツオの漁獲量を調べると高知県は全国第3位ですが、1人あたりのカツオ消費量はダントツの1位を誇ります。高知県では、2位の宮城県と比べて2.3〜2.5倍もカツオが食べられているのです。

高知県で親しまれているカツオには、たんぱく質やEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)と呼ばれる魚油が豊富に含まれています。高知県のカツオが持つ健康効果について、高知大学副学長で地域連携支援センター長を務める受田浩之先生に話を伺いました。

「カツオには、アンセリン(アミノ酸が2つ組み合わさったペプチドの1つ)の含有量が多いことがわかっています。アンセリンは、動物の脳や心臓、肝臓、骨格筋中のほか、特に筋肉中に高濃度で存在しています。抗疲労効果がある成分として知られています」

アンセリンは、抗酸化作用や尿酸値低下作用などもあることが報告されています。特に高知県で獲れる初ガツオに多く含まれていることがわかりました。

「私たちは、高知県町で水揚げされたカツオ135本分を分析しました。すると、ちょうど初ガツオが獲れる2月以降のカツオにアンセリンが豊富に含まれていたのです」

受田教授の研究グループは、カツオが持つ抗疲労効果を調べるため、フリッカーテストを使って調査しました。フリッカーテストは、精神疲労や眼精疲労の程度を調べるときなどに使われます。光を点滅させたさいに、点滅速度が遅いと点滅していることがわかります。点滅速度が速まると、点滅していることが認識できなくなり、常に光っていると感じてしまうことを利用したテストです。今回の試験では、白色、青色、赤色の3色を点滅させ、感じなくなる境界を調べました。

「黒潮町に住む26人(20〜60代の男女)に協力してもらい、5週間にわたって試験を実施しました。2週めと5週めの各1週間は黒潮町で獲れたカツオのさしみを毎晩100㌘食べてもらい、ほかの週はカツオを食べないようにお願いしました。平日の午前9時と午後5時にフリッカーテストを実施。その結果、特に午前9時のほうに改善が見られ、前日に食べたカツオが眼精疲労に対して働きかけるという抗疲労効果が認められました」

一方、午後5時のフリッカーテストでは、朝9時のテストと同じ傾向が見られませんでした。カツオ100㌘の摂取では長時間にわたって抗疲労効果が持続しないことが示されました。

「カツオを頻繁に食べれば、抗疲労効果が得られる可能性が高まるでしょう。仕事でパソコンを使っている人の69%に身体的な疲労や症状があり、そのうちの91%は目の疲れや痛みがあると答えている調査結果もあります。カツオは目を酷使している人たちに、多く食べてほしいと思います」

さらにカツオには、ヒスチジンというアミノ酸も豊富に含まれています。ヒスチジンは、食欲を抑える物質のヒスタミンを産生するのに必要となるアミノ酸です。カツオを食べることで食欲が抑えられ、ダイエット効果も期待できるのです。

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